今ある窓の内側にもう一つ新たに窓を取付ける
内窓とは、今ある窓の内側にもう一つ窓を取付ける方法です。
二重窓とも呼ばれています。
近年注目を集めておりますが、内窓の歴史は意外と古く、国内初の樹脂製内窓の発売は40年以上前にさかのぼります。
その後複数のメーカーが参入しており、現在では内窓を製造するメーカーは6社以上になります。
各メーカーそれぞれに特性があります。
ここでは、内窓とはどういったものかをお話しした上で、各メーカーの製品を取り上げてみたいと思います。
内窓 = 樹脂製サッシ + 組み込むガラス
窓工房で扱っている内窓の多くは、枠の部分は内窓メーカーへ、組み込むガラスはガラスメーカー(ガラス問屋)へ、と分けて発注をします。
内窓は、樹脂でできている枠 + ガラス の2つで構成されているとお考えください。
<枠とガラスについて>
枠 | ガラス |
各製品の何が違うのかと問われれば、それは気密性能です。
材質や耐久年数もメーカーによって差があります。しかし大きな差があるのは気密性だと考えます。 金額が高い内窓を選べば、気密性が上がります。 |
用途に合わせてガラスの種類を選びます。
防音対策なら防音に強いガラス、結露対策なら断熱に強いガラス、和室用なら和紙調のガラスというように選択されるのが良いです。 |
窓工房が主に取り扱っている内窓 LIXIL インプラス YKKAP株式会社 プラマードU 旭硝子株式会社 まどまど 大信工業株式会社 プラスト など |
内窓はどこに取り付けるの?
ご自宅の窓の周りを見てみてください。
左の写真のように、窓の内側に木枠の額縁があると思います。内窓は、この木枠を利用して設置します。
矢印のある木枠内に新しく樹脂製の枠を取付けます。
取付けに必要な木枠の幅はどのくらい?
内窓を取付けるのに必要な木枠の幅は、内窓の種類によって異なります。製品によって、最低でも3~4㎝、できれば7~8㎝はほしいところです。
窓の状況によっては3㎝未満でも取付け可能な場合もあります。
掃出し窓(人が出入りできる高さの窓)は、写真のような框(かまち)が出ていると、この出ている部分も考慮しなければなりません。
奥行きが8㎝あっても通常の取り付け方ができないことがあります。
また、インプラスやプラマードで通常の取り付けができなくても、旭硝子のまどまどなら取り付けができる、というケースもよくあります。
奥行きが狭いところに内窓を取付けできるの?
ほとんどの場合で、取付け可能です。
奥行きが狭い(木枠の幅が狭い)場合は、ふかし枠という部材を取付けて木枠の幅を増やします。
ふかし枠を取り付けるのが難しい場合、オリジナルで新たな造作材を作り対応するケースもあります。
よその会社で断られたからと、窓工房で工事をすることもよくありますが、そのようなケースではオリジナルの造作材で対応することが多いです。
どのメーカーも、数種類の太さのふかし枠を出しています。内窓を設置する木枠の幅はおよそ7㎝が必要です。したがって、今ある木枠の幅が5㎝程度なら2㎝幅のふかし枠を、ほとんど木枠の幅がないなら5㎝や7㎝幅のふかし枠をと、今ある木枠の状況でふかし枠の種類を決めます。
カーテンレールはどうなるの?
ふかし枠が必要でなければ内窓がカーテンレールに影響することはまずありません。
しかし、上枠にふかし枠を取付ける場合はカーテンレールを一度取り外さなくてはなりません。ふかし枠を取付け、窓枠も全て設置し終えたら、一番最後にカーテンレールをつけ直します。
カーテンレールをつけ直すとき、そのまま元に戻せばいいことも多いです。しかし、ふかし枠が出っ張っているためそのままではダメな場合には、カーテンレール対応ふかし枠を使用します。
この機会にカーテンレールを新しくする方もいらっしゃいます。
障子のある窓はどのように内窓がつくの?
写真のように障子がある窓でしたら、この障子を取り外し上下の木枠の溝を塞ぎ、そのスペースに障子タイプの内窓を設置します。
各メーカーとも障子風の内窓を製作しています。
今と同じようにガラスを和紙調のものにして組子を付ける場合が一般的です。ですが、組子の桟にはほこりがたまりやすいなどの欠点もあります。組子は見栄えを良くするためにとりつけるもので、断熱性能や強度が向上するわけではありません。
そのため、組子は取り付けず和紙調のガラスのみで対応するケースもあります。
慣れてしまえばこの方がいいという方も感想も多いです。
畳まで出てしまう場合、内窓は取り付けられるの?
写真のような畳のあるお部屋で、窓が掃出し窓の場合は注意が必要です。
木枠の幅が十分あればまったく問題ないのですが、木枠の幅が5㎝程度で畳にまで内窓のレールが出てしまう場合は、通常の取り付けができません。
畳の上に直にレールを打ち付けることはできませんからね。
このようなときには、畳屋さんに依頼して畳を加工してもらうか、畳対策用のレールを使うかで対応できます。
旭硝子製のまどまどにはこの畳対策用レールがあります。
内窓の取り付けが困難な窓
内窓は防音対策にも断熱対策にも有効で、しかも比較的短い時間で取り付けが可能です。けれど、中には内窓を取付けることができない窓があります。
内窓を取付ける場所は、今ある窓の内側の木枠の部分です。この木枠内に障害物があり取付けスペースが確保できない場合は、取付けが難しくなります。
どのような窓への取り付けが難しいかを説明いたします。
○ルーバー窓 | |
ルーバー窓とは、羽根状のガラスをハンドルでくるくる回して開け閉めする窓です。
ルーバー窓は気密性が低く、引違い窓と比較すると断熱性や遮音性が劣るため、何らかの対策をご希望のお客様が多い窓です。 しかし、このルーバー窓はそのままでは内窓を取り付けできないことが多いです。なぜなら、開閉のためのハンドルが内窓にあたってしまうからです。 そこで、ハンドルが内窓にあたらないように工夫する必要がでてきます。方法は次の2通りがあります。
①くるくると回せる分を残してハンドルを短く切り、さらにふかし枠を付けたし内窓用のスペースを作る。 ②ハンドルが邪魔にならないくらいまでふかし枠を付けたし、部屋側に出っ張らせて内窓用のスペースを作る。 どちらの方法にするかは、お客様と相談しながら決めます。 |
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○内倒し窓 | |
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○ドアクローザ―がある窓 | |
木枠部分に写真のようなドアクローザ―がある場合、内窓の取り付けは難しいです。 ドアクローザ―のある窓に内窓を取り付けたい場合は、7㎝程度のふかし枠をつけてから取り付けるという方法もあります。 ただし、その分だけ室内側が狭くなるのが難点です。 |
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○防犯用ブザーなどの障害物がある窓 |
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防犯用のブザーが木材部に設置してある窓には内窓の取り付けができません。 お客様の中には、契約している警備会社にブザーの移動を依頼して、内窓を取り付けた方もいらっしゃいます。 内窓を取り付けるためには、ブザーの移動が必要となります。 |