コーナーガラスをスペーシアに入れ替えることも可能です。
ただし、日本板硝子の10年保証の対象外になります。
コーキング剤を隙間に埋め込む様子
東京都青梅市にお住まいのMさまより、ご依頼いただきました。
浴室の突合せ(つきあわせ)コーナーガラスを日本板硝子製の真空ガラス「スペーシアST」に入れ替えます。
突合せ(つきあわせ)とは、2つのガラスが直角に接している部分のことです。
真空ガラス「スペーシアST」はデリケートなガラスです。真空層を長期間にわたって維持させるために、ガラス同士の突合せには施工ができません。
そのため、突合せ部に方立て(アルミの仕切り)を立てて、2枚のガラスを使う施工を試みます。
真空ガラス「スペーシアST」を突合せ部に使用した場合は、メーカーの10年保証の対象外となります。お客様のご了解をもらって、施工しましたが、やはり気を使います。
結果的には、綺麗に仕上げることができて、お客様には大変喜んでもらえました。
真空ガラス「スペーシアST」によるコーナーガラスの交換は、かなり特殊な施工例になるかと思います。
それでは、手順を施行写真つきで詳しく解説していきます。
施工例のはじまり、はじまりで~す。
担当店舗 | 窓工房 本店 |
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施工地域 | 東京都 青梅市 M邸 |
施工時間 | 2人で1日(休憩あり) |
内容 |
浴室の突合せコーナーガラスの交換。 使用したのは、日本板硝子製の真空ガラス「スペーシアST」。 突合せ部にアルミの方立てを使用して、ガラスを2枚に分けて交換しました。 |
施工手順
1. 現在の浴室のコーナーガラスの状態です。
浴室のコーナーガラスを真空ガラス「スペーシアST」に入れ替えます。
冬場は寒くてお風呂に入るのが大変だとおっしゃっていました。
そのため、このコーナーガラスを断熱性能の高い真空ガラス「スペーシアST」に入れ替えることになりました。
ただ、コーナーガラスの場合は、大きな問題もあるのです。
2. 真空ガラス「スペーシアST」はガラスの突合せ加工ができません。
通常、真空ガラス「スペーシアST」はガラスの突合せ加工ができないため、突合せ部での入れ替えができません。
長年に渡って真空層を維持することが難しくなるためです。
ですので、矢印の部分にアルミの方立てを作成して、2枚の真空ガラス「スペーシアST」を納めることになりました。
それでも、突合せ部に真空ガラス「スペーシアST」を使用した場合は、メーカーの10年保証の対象外となります。
そのことをお客様から了解をえて、この施工方法を進めていきます。
3. アルミ枠とガラスの間のコーキング材を切り取ります。
既存の窓ガラスを取り外すために、ガラアルミ枠とガラスの間にあるコーキング材(ゴム)を剥ぎ取ります。
これがかなりの重労働になります。
思いっきり力を入れないと、固まっているコーキング材がしっかり切れません。
カッターの刃がポキポキと折れてしまうことが多いですね。
4. 現在のガラスを取り外します。
コーキング材を切断したあと、突き合さった2枚の板ガラスを取り外します。
ちなみに、このガラスは窓工房の工場に持ち帰って砕きます。
そのあと、専門業者にリサイクルしてもらいます。
5. アルミ枠に残ったコーキング材を綺麗にそぎ取ります。
アルミ枠に残ったコーキング材をカッターで綺麗にそぎ取ります。
このアルミ枠に真空ガラス「スペーシアST」を入れて、新しくコーキング材を打つことになります。
古いコーキング材はこの時に除去させます。
仕上がりをよくするための作業です。
6. コーキング材を綺麗にそぎ取った状態です。
真空ガラス「スペーシアST」の入れ替え工事の前半が終了です。
写真では一人での施工になっていますが、実際には二人で施工しています。
前半の作業は、ガラスを安全に撤去することが何より大切ではあります。
その後、アルミ枠にこびり付いているコーキング材(ゴム)を綺麗にそぎ取るのも大事な作業です。
7. 真空ガラス「スペーシアST」をセットしていきます。
いよいよ真空ガラス「スペーシアST」をセットしていきます。
赤い矢印の内側にセットします。最も気を使う作業ですね。
2人で慎重に作業したため、撮影はできていないのは残念ですが、一番お見せしたいところです。
8. 1枚目の真空ガラス「スペーシアST」をセットします。
1枚目の真空ガラス「スペーシアST」をセットします。
真空ガラス「スペーシアST」をセットしたら、下部のライナー(ガラスに荷重がかかる部分)にしっかり乗っているか、上部のかかりはあるのかを確認します。
9. 2枚目の真空ガラス「スペーシアST」をセットします。
同じように、2枚目の真空ガラス「スペーシアST」をセットします。
突合せ(つきあわせ)の部分は、しっかりと隙間を作ることが重要になります。
ここにアルミの方立てを作ります。ある程度間隔を空けた方がいいのです。
この時に、真空ガラス「スペーシアST」の隅でも、コツンとぶつかるものなら、真空状態が破損することもありえます。
最も気を使う瞬間ですね。
10. 真空ガラス「スペーシアST」の両面にスポンジ状の詰め物を入れます。
真空ガラス「スペーシアST」の両面にスポンジ状の詰め物を入れます。
これでガラスを一時的に仮固定をします。
11. アルミのコーナー方立て部分を作成します。
真空ガラス「スペーシアST」の突合せ部にあたるコーナー方立てを作成します。
あらかじめ工場である程度の加工はしてきました。
現場で細かい納まりを確認・調整して、方立ての完成です。
12. 突合せ部分の室外側に、コーナー方立てを取り付けます。
真空ガラス「スペーシアST」の突合せ部分に、コーナー方立てを取り付けます。
通常は、コーナー方立てを取り付けてから、ガラスを納めるという流れになります。
今回は、室内から真空ガラス「スペーシアST」を設置するのが難しいため、順番が逆になりました。
突合せコーナーガラスを真空ガラス「スペーシアST」に交換
こちらの流れで施工するのが一般的です。
13. 室外側のコーナー方立てを固定します。
コーナー方立てを固定します。
14. 室内側から突合せ部分にコーキング材を打ち込みます。
室内側から突合せ部分にコーキング材を打ち込みます。
15. 室内側のコーナー方立てを取り付けます。
同じように、室内側にもコーナー方立てを取り付けます。
16. 室内側のコーナー方立てを固定します。
真空ガラス「スペーシアST」の突合せ施工は、メーカーの10年保証の対象外になります。
角同士がぶつかるので真空状態が維持できにくいからです。
そのため、コーナー方立てを利用することによって、角同士の空間を保ちます。
その空間にコーキング材を十分に含ませるという施工方法になっています。
お客様には了解の上で施工させていただいております。
17. アルミ枠と真空ガラスの間にコーキング材を打つ準備をします。
アルミ枠と真空ガラス「スペーシアST」の間にコーキング材を打つ準備をします。
真空ガラス「スペーシアST」とアルミ枠に、マスキングテープを貼り合わせます。
18. コーナー方立ての部分にもマスキングテープを貼ります。
コーナー方立ての部分にもマスキングテープを貼り合わせます。
ガラス2面の室外側および室内側の4方にマスキングテープを貼ります。
19. 室外側にコーキング材を打ち込みます。
まずは、室外側にコーキング材を打ち込みます。
20. 引き続き、室内側にコーキング材を打ち込みます。
引き続き、室内側にコーキング材を打ち込みます。
21. コーキング材をへらでならします。
真空ガラス「スペーシアST」のまわりにコーキングを打ち込みました。
コーキング材が乾く前に専用のへらでならします。
22. マスキングテープを剥がします。
真空ガラス「スペーシアST」とアルミ枠のまわりに貼ったマスキングテープをはがします。
コーキング材を打ち込むだけでしたら、マスキングテープは必要ありません。
マスキングテープを使うことによって、コーキング材の境目がくっきりと綺麗に仕上がるのです。
23. 浴室の突合せコーナーガラスの交換が完成です。
浴室の突合せコーナーガラスを、日本板硝子製の真空ガラス「スペーシアST」に交換しました。
これで完成になります。
24. 室内側からの完成写真になります。
室内側からみた完成写真です。
竹やぶの奥はすぐ多摩川でとてもいいところでした(^^)
見晴らしを考えて、ガラス張りの浴室にしたそうですが、冬場は想像以上に今までは寒かったそうです。
お客様にお聞きしたところ、浴室の場合は真空ガラス「スペーシアST」でもやはり曇るそうです。
けれど、「浴室が以前にくらべ大幅に温かくなった」とのこと。
「身体にも負担がかからなっくなって、目的が達成できたので、交換してよかった」とおっしゃっていました。
ご感想をどうもありがとうございました。