近年、住まいの環境と健康に与える影響が研究されています。
どうやら住まいと健康には密接な関係があるようです。
特に寒い冬は、暖かな家の方が身体への負担は少ないようです。
部屋が寒い原因は、窓である場合が多いです。
ここでは、部屋が寒いとどのように健康に影響するか、
簡単にお話していきます。
冬場は自宅での心疾患の死亡率が高くなる
心疾患(しんしっかん)の代表、狭心症・心筋梗塞は、
冬場に多くみられる病気です。
このグラフは心疾患における死亡率を
病院と自宅とを比較したグラフです。
夏場は病院でも自宅でも、死亡率は変わりません
しかし、冬場は、顕著に差が出ます。
自宅の方が、死亡率が高いのが分かります。
ひとつに考えられることは、冬の寒さです。
病院は、健康に配慮されて、
建物内の温度がある程度、一定に保たれています。
病院内に比べると、自宅内は寒いのではないでしょうか。
そこに何か原因、因果関係があると読み取れます。
冬場に自宅が寒くなるのは、家の断熱性能が低く、
中でも、窓の断熱性能が低いからです。
住宅の断熱性能は、身体の健康に
大きく影響していると考えれらます。
入浴中の急死は、交通事故による死亡を上回る
ヒートショックという言葉を
耳にしたことはありますでしょうか。
急激な温度差がもたらす悪影響
家の中の急激な温度差がもたらす
身体への悪影響のことをヒートショックと呼んでいます。
例えば、自宅でお風呂に入るときです。
こちらのグラフを見てください。
入浴中に心臓機能が停止してしまうのは、
夏場よりも圧倒的に冬場ということが分かります。
それまで居間で暖かく過ごしていても、
脱衣所で洋服を脱ぐときに寒い思いをします。
浴室につかるまでは身体は冷えた状態です。
暖かな環境から寒い環境に急激に変わります。
身体には大きく負担がかかります。
今度は、温かい浴槽につかります。
ここでも身体に急激な負荷がかかります。
この間、血圧は急激に上昇しています。
十分身体が暖まり、浴室から脱衣所にでます。
身体が急激に冷えて、血圧が低下します。
血圧の変動は心臓に負担をかけ、
心筋梗塞や脳卒中につながりかねません。
これは入浴中だけではなくて、
寒いトイレや廊下でも起こりえる事故です。
このような身体への悪影響がヒートショックです。
ヒートショックで亡くなる人数は、4倍
入浴中に亡くなる方は、全国で年間約1万4,000人です。
原因の多くはヒートショックであると推測されています。
交通事故の年間死亡者数は、平成25年、26年ともに
およそ4,000人です。
入浴中にヒートショックで亡くなる方は、
交通事故で亡くなられる方よりも4倍近く上回ります。
ヒートショックを防ぐために意識すること
ヒートショックの予防のためには、
次のことを意識してください。
・脱衣所やトイレを暖める
・入浴は40度未満のぬるめのお湯に入る
・長湯を避ける
・冷え込む深夜ではなく、早めの時間に入浴する
・心臓病や高血圧の人には半身浴がお勧め
・肩が寒いときは、お湯で暖めたタオルをかける
細かな配慮が、もしもの事態を予防してくれます。
温暖地域こそ、家の中が寒い
ヒートショックは、室内の急激な温度差で起こります。
それでは、北海道などの寒い地域で
多くの事故が起こるのでしょうか?
こちらのグラフを見てください。
なんと意外なことに、北海道は全国最下位なのです。
寒い地域で多く起こる事故ではないのです。
なぜかというと、北海道の住まいの多くは、
しっかり断熱対策された住環境のため、
脱衣所も廊下も温かいのです。
そのため、北海道は最もヒートショックが
起こりにくい結果になっています。
つまり、温暖地域であっても、
断熱対策が十分でない住まいは、
冬場にヒートショックが起こりやすいのです。
窓の寒さ・結露は、窓から熱が逃げることが原因でも
お伝えしましたが、断熱対策で一番重要なのが窓です。
ヒートショックを防ぐためにも、
窓の断熱対策を一番にご検討頂ければと思います。