ペアガラスは、ガラスが二重になっているガラスのことです。
1年を通してペアガラス(複層ガラス)のお問合せを多く頂いております。
ペアガラスは、真空ガラスよりも知名度があります。
そのせいか、 結露を防ぐガラス=ペアガラス!という図式が出来上がってしまったような気がします。
それでは、ペアガラスとは一体どんなガラスで、どんな種類のものがあるのでしょうか?
最も多く普及しているペアガラスは、2枚の板ガラス(厚さは3㎜)の間を6㎜にして、その間に乾燥した空気を注入したガラスのことをいいます。
このようにする事によって、高い断熱効果が生まれます。
当然中の空気層が厚ければ厚いほど、断熱効果が高まります。
例えば、寒い時に毛布を多く羽織れば羽織るほど熱は外に逃げませんよね。暖かくなりますよね。
それと同じで、ガラスとガラスの間の空気層が厚いほど、熱を遮断してくれるのです。
ちなみに空気層が12mmというペアガラスもあります。
ペアガラスの開発目的
ペアガラスのある家
ペアガラスの一番の目的は断熱効果を高めることです。
突然ですが皆さんの家には、窓ガラスってございますよね。窓ガラスの目的は外の光を室内に取り入れたりと、快適な生活を送るうえでなくてはならない製品で す。もし今住んでいるお住まいに窓ガラスが一枚もなかったら不便ですよね。薄暗い空間になって気持ちも暗~くなるんじゃないでしょうか。窓ガラスはなくて はならないものになります。
ただガラスにもいくつか欠点があります。一 つに非常に熱を伝えやすいということです。どういうことかというと、冬でしたら、部屋をガンガン暖めてもガラスを通して熱が外に逃げてしまうのです。壁を 触っても冷たくないのに、ガラスだけは冷たいですよね。あれは窓ガラスから多くの熱が逃げている証拠です。夏なら暑い空気が室内に入り込み冷房が効きにく くなります。
そんな欠点を補う目的で作られたのが、ペアガラスです。
それでもまだまだ熱は通しやすいのですが、一般の住宅に取り付けられている窓ガラスに比べると、2倍の断熱効果があります。
ペアガラスの間にある空気の中身は?
基本的には、ペアガラスの空気層には「乾燥空気」が使用されています。乾燥空気とは、水分の含まれていない空気のことで、乾いた空気のことを指しています。砂漠にある空気などは、極めて乾燥空気に近いといえるでしょう。
ペアガラスの空気層に乾燥空気が選ばれている理由の一つに、内部結露を防ぐことが挙げられます。空気層の中に水分を含んだ空気が入っていると、その水分が結露として発生する恐れがあるためです。
もう一つの理由に、乾燥空気は(ガラスなとと比べて)比較的熱を伝えにくい性質もあるからです。
よく勘違いされることがあるので説明しますが、ペアガラスの中間層(空気層)は、真空ではありません。真空は熱を伝ないという性質があるので(魔法瓶は真空の技術を利用しています)、断熱効果には非常に有効なのですが、技術的なことを考えると商品化するのが不可能だと一昔前までは言われていました。
今は日本板硝子が開発に成功し、真空ガラス「スペーシア」という製品名で販売しています。断熱効果は、一般のペアガラスと比べ更に2倍の断熱効果を発揮しています。
Low-Eガラスって何ですか?
ペアガラスを説明する中で必ず登場するキーワードが、
この「Low-Eガラス」です。
Low-Eガラスとは、通常のフロートガラスの片側表面に非常に薄い特殊金属膜をコーティングしたガラスのことをいいます。
Low-Eガラスの働きは、放射率を低く抑えることですが、簡単にいうと太陽からの直接受ける日差し(夏は特にジリジリとするあれです)を和らげる効果のあるガラスです。(Low-Eガラスのコーティングするタイプや向きによって効果、性能も変わってきます。
複層ガラス(ペアガラス)の材料として使用することで、断熱性をより一層高めると共に、夏場の遮熱性をも高めることができ、冷暖房両方の負荷を軽減し省エネ性に優れた開口部の実現に貢献します。
Low-Eガラスは、高性能の複層ガラス(ペアガラス)や真空ガラスに使用されています。
Low-Eガラスには高断熱タイプと遮熱タイプがあります。
高断熱タイプは、冬期でも太陽エネルギーを多く透過するので、室内は暖かくなります。また、暖房設備からでる波長の長い遠赤外線を反射するので、暖まった空気を逃さず暖房効率を高めます。
遮熱タイプは、 夏期の強い太陽エネルギーをカットする一方、高い外気温度を遮り冷房効率を高めます。また、冬期は高断熱タイプと同様、室内の暖かさを外に逃さず、暖かい お部屋をつくります。ともに断熱性能はほぼ同じなので、窓の方角や気候風土に適したタイプを選択するのが省エネ上手といえます。
ペアガラスの種類
それでは、実際使われているペアガラスをご説明致します。
ペアガラス(複層ガラス)には、主に3種類あると覚えて下さい。
(実際にはもっと様々な種類があるのですが、まずはこの3つを区別することにより、よそで見積りを取るとき便利だと思います。)
下記の左側の3つの図は、ペアガラスを横から見た断面図です。Low-Eガラスを使用していないペアガラス
(一般複層ガラス)
外側のガラスも内側のガラスも共に3㎜の板ガラスを使用したペアガラスです。
最も一般的なペアガラスです。
Low-Eガラスは使用されていません。
空気層は6㎜の厚さが一般的です。
総厚が12㎜となります。
空気層で使用されている気体は乾燥空気になります。
最も一般的なペアガラスになりますが、Low-Eガラスが入っているペアガラスに比べると断熱効果は低くなります。
日本板硝子社では、ペアマルチという商品名で販売されています。
Low-Eガラスを室内側に使用したペアガラス
(高断熱複層ガラス)
室内側にLow-Eガラスをコーティングすることにより、
窓から逃げる暖房熱の量を大幅に減らします。
冬の暖かさも一般的なペアガラス(複層ガラス)以上で、窓辺の冷気も抑えてくれます。
断熱性能は、一枚ガラスの約3.2倍
一般複層ガラス(ペアマルチ)の約1.5倍。
日本板硝子社では、ペアマルチスーパーという商品名で販売されています。
Low-Eガラスを室外側に使用したペアガラス
(遮熱高断熱複層ガラス)
室外側にLow-Eガラスをコーティングすることにより、
窓から入ってくる強い日差しを大幅に和らげてくれます。
冷房を切っても涼しさが長持ちするので寝苦しい夏の熱帯夜もずいぶん解消されます。
また、強い西日に悩まされている部屋に大変お勧めですが、
太陽のぽかぽか感を取り入れたいお部屋には、上記の高断熱複層ガラスがお勧めです。
遮熱性能は、一枚ガラスの約5倍
一般複層ガラス(ペアマルチ)の約3倍。
日本板硝子社では、ペアマルチスーパーという商品名で販売されています。
※上記3つの図は、ペアガラスを横から見た形になります。
注目して頂きたいのは
青い縦線の
Low-Eガラスの位置になります。
今あるサッシにそのまま使えるの?
窓ガラスだけペアガラスに交換したいという問合せを頂きますが、ガラスの厚さが7㎜を超えるとガラスだけの交換では済まなくなります。つまり厚すぎてサッシの溝にガラスが入らないのです。ペアガラスは普通厚さが12mm以上になるため専用のアタッチメントを使用する必要があります。実際、専用のアタッチメントを使用しペアガラスを入れても、ガラスが厚い分網戸レールにまではみだしてしまうことが多く、今ある網戸が使えなくなったりするケースもあります。
薄いタイプのペアガラスがあればいいのですが、そうなるとそれだけ断熱効果が弱くなります。
中にはガラスの厚さが7㎜以下のペアガラスもリフォームに使われているようですが、ああなると本来あるべきペアガラスの働き(熱を伝えにくくする働き)が弱くなり、正直意味がなくなってしまうと思います。
ペアガラスが装備されている新築物件が最近多くなってきました。ペアガラスの厚みは12mm以上あるため、サッシの枠からレールから、ほとんど全てペアガラス専用の大きいものが使用されています。
ですから、そのように使用されているペアガラスを今ある普通のサッシに入れるのには多少無理があるかもしれません。ペアガラスはリフォーム用に作られてはいませんのでしょうがないことと思います。
もし今ある窓を(結露対策などの理由で)交換したいのであれば、やはりスペーシアがお勧めです。真空技術を駆使しているため、薄型なのに一般複層ガラス(ペアガラス)の更に2倍(板ガラスの4倍)の断熱効果があり、今あるガラスのみの交換で専用アタッチメントなどもいりません。
ペアガラスにも保証はあるのですか?
当店で販売されているペアマルチ、ペアマルチスーパー、ペアマルチボーグなどには、すべて10年の保証がついています。(真空ガラス「スペーシア」も10年保証されています。)
ところでペアガラスの何について保証しているかご存知でしょうか?
簡単にいうと、内部結露をするかしないかといったことです。ペアガラスの中(乾燥空気が入っている空間)が結露で曇ったりしたら、それは乾燥空気が外に漏れている証拠です。
保証範囲内として無償で取替えできます。
乾燥空気を注入して販売・取付けしても、年月が経つと漏れたりして外から湿った空気が入り込んだりすることもあります。
そうするとペアガラスの中が曇ったりと大変です。
それについて保証されている訳です。
ペアガラスに起こる内部結露とは?
ペアガラスは普通10年間の保証が付いています。これは何についての保証かというと、ガラスとガラスの中間の空気層に水分の含んだ空気が入りこんでしまうことにより起こる内部結露についてです。
ペアガラスは正常な状態では空気層には外からの空気は入らないように厳重に加工してあります。何らかの理由で外からの空気が中に入ってしまうと、中が 曇ったりするのです。これが内部結露といわれています。つまり内部結露が発生したということは、どこか小さな穴が開いて中の乾燥空気が漏れてしまっている ことになります。断熱効果は下がりますし、見た目も明らかに悪いです。
ひどい場合になると、写真のように内部で結露した水分が下に溜まって水槽のような状態になっている場合もあります。
ペアガラスには防音効果があるのですか?
私も時間がある時はネットサーフィンをして楽しんでます。同業社のホームページをみてはいろいろ勉強させてもらっております。ただ以外によく見られるのが、
「ペアガラスは、断熱対策、防音対策に大変効果があります!」
というフレーズです。 これ、正しくありません。ペアガラスは防音効果を見込んで取り付けてはいけないガラスなのです。
右のような和太鼓を叩くと音が響きますよね?「ドーン!」と。
ちなみにこの膜が片方しかない場合、思ったほど音って響かないようなんです。2枚あるからこそ太鼓の音は響きます。これを共鳴現象っていうんですけど、ペ アガラスも同じようにこの現象が起こりやすいのです。ガラスが二重に入っているからといって、防音効果が高くなると言うわけではないのです。
ちなみに、真空ガラス「スペーシア」は
一般的なペアガラス(複層ガラス)の場合に起こる、遮音性能を悪化させる原因となる共鳴現象がありません。
その他のペアガラス
セキュオペア
(防犯ガラス+ペアガラス)
つい最近までは、防犯対策を取るか断熱対策を取るかで悩まれていたお客様も多くいらっしゃいました。
今では断熱効果もありながら防犯力もあるガラスが販売されています。
防犯ガラスを合わせたペアガラスです。
アルゴンガス入りペアガラス
(空気層には乾燥空気でなくアルゴンガス)
ペアガラスの中間層(空気層)の中は乾燥空気が一般的です。
一番いいのは、乾燥空気なんか入れないでペアガラスの中間層を真空にすれば格段に熱が逃げにくくなっていいのですが、それは技術的に難しいんです。(今ではスペーシアが販売されています)
じゃあ、真空状態にはできないまでも、乾燥空気よりも熱を伝えにくく、かつ安全な気体はないものかと探した結果、アルゴンガスに行き着きました。(まぁ、実際は探すまでもなく化学の教科書に載ってますよね・・・)
乾燥空気に比べ、アルゴンガスは1.5倍ほども熱を伝えにくく、かつ安全な気体といわれています。
アルゴンガスは空気中にも存在する気体で、空気中では二酸化炭素よりも多く存在しているほどの気体です。
つまり万が一ペアガラスから漏れても特に問題ないといえる気体です。
スペーシア21
(真空ガラス+アルゴンガス入りペアガラス)
スペーシア21は、非常に高い断熱性能を持つ真空ガラス「スペーシア」とLow-Eガラスで構成したハイブリッドな複層ガラス(ペヤグラス)です。
さらに中空層には、寒冷地仕様の複層ガラス(ペアグラス)では実績のあるアルゴンガスを封入し、これまでのガラスにはない、断熱材に匹敵する超高断熱性能を実現しました。
スペーシア21なら、北面にも明るく大きな開口部が設計でき、夏期の通気性、冬期の断熱性をともに満足できる空間が実現できます。
スペーシア守
(真空ガラス+防犯ガラス)
スペーシアは断熱効果がある分、防犯効果がありませんでした。
結露対策には大変威力を発揮してくれましたが、ドライバーなどでこじ破れば簡単に割れてしまったのがスペーシアです。
スペーシア守はそんなスペーシアの弱点を補ってくれた合わせガラスで、セキュオSPと真空ガラス「スペーシア」を組み合わせたガラスです。
※正確にいうと、スペーシア守は合わせガラスであって、ペアガラスには分類されませんがご提案させて頂きました。
スペーシア静
(真空ガラス+防音ガラス)
真空ガラス「スペーシア」自体に(防音ガラス並の)防音効果がありますが、その真空ガラスに更に防音ガラスを張り合わせたガラスです。
使用する用途としては、静粛性と断熱性能が求められているマンション、ホテル、病院などになります。
アタッチメントを付けたスペーシア静は販売しておりませんので、一般戸建住宅には取替えできないガラスです。
※正確にいうと、スペーシア守は合わせガラスであって、ペアガラスには分類されませんがご提案させて頂きました。
ペアガラスの見積りを取られている方へ
これはとても残念なことですが、最近悪徳リフォーム会社が世間を賑わせております。
せめて、今、当店のホームページまで遊びに来て下さっている方には、あのような被害にあってほしくないと心より思います。
一番辛いのは被害に遭われた方ですが、同業社も信用を失墜された訳ですから、間接的に被害にあっていると言えるでしょう。
もし今他社から見積りをとっていたり、これから取ろうという方がいましたら、再度下記の点をもう一度御確認下さい。
(これはペアガラスについてです)
空気層は何ミリか?
(6㎜以上あるのかがポイントで、ちゃんと説明を受けているか)
Low-Eガラスが入っているかどうか?
(無くてもいいのですが、あるかどうかだけは確認しておいた方がいいです)
ペアガラスの総厚はいくつになるのか?
ペアガラスを取り付けることによって、
今ある網戸が使えるかどうか?
(ペアガラスを取り付けることにより、既存の網戸が使えなくなるケースがあります)
アタッチメントの代金が含まれているか?
(今あるガラスと取り替える場合は、普通専用アダプターが必要になります。)
結露はしないと営業マンに言われていませんか?
(ペアガラスも結露はします。あくまで一般的な板ガラスに比べて結露しにくいと謳っているまでです。あの「真空ガラス」スペーシアですら使用状況によっては結露が発生する位ですから・・・。
もし担当の方がこれで結露がなくなります!と言い切っているようでしたら、再度検討し直した方がいいでしょう。)
施工費込みの価格なのが、工賃別途なのかどうか
(施工費込みの価格なのか、施工費別途なのかをはっきり明記しているかどうかは特に大切なことです。)
やけに即決を求めてきてはいないか
(「今契約してくれたらこれだけ値引きます」と、必要以上に即決で決めたがっているとしたら、それはやめた方がいいと思います。どう考えてもおかしな話です。そもそも即決で買うものではないのです。)
根拠もなく大幅に値引いてはいないか
(安売りすることは悪いことでは当然ありません。ただ、あまりに値引いたり、安売りをするのなら、何か原因があると疑った方がいいかもしれません。)
製造会社(メーカー)はどこなのか?
(製造メーカーはどこのものか位は確認しておいた方がいいでしょう。
ちなみに大手3大ガラスメーカーは、日本板硝子・旭硝子・セントラル硝子の3社です。)
騒音が抑えられるなんて言ってませんか?
(騒音が抑えられる!とか防音に最適!と謳っている会社でしたら、ペアガラスのことを全然知っていない証拠です。普通のペアガラスには防音効果は期待できません。)
もし、ガラス・サッシだけのリフォームでしたら、近くのガラス屋さんに直接依頼した方がいいでしょう。
まず、総合リフォーム会社よりもガラスのことについては詳しいですし、的確にアドバイスしてくれることと思います。